知らなきゃ損する!腕時計の基礎知識「ムーブメント」と「オーバーホール」

時計の基礎知識「ムーブメント」や「オーバーホール」について紹介しています。これらを知らないと「壊れている」と勘違いしたり「知っていれば壊れずに済んだ」という後悔をしたりしますので、知らない方は必見です。

誰もが一度はつけたことがある「腕時計」ですが、その時計の核となるパーツの名称や、メンテナンスの頻度などといった、基礎知識はあまり知られていません。例えば「ムーブメント」などという単語を聞いても、多くの人がピンと来ないと思います。そのため今回はそんな腕時計についての基礎知識「ムーブメント」と「オーバーホール」について紹介していきます。

ムーブメントとは

ムーブメント
ムーブメントは、車で言うところのエンジンにあたる重要なパーツです。腕時計の心臓部とも言えます。このムーブメントの種類によって、時計の種類が変わってきます。種類は大きく分けると
・機械式(手巻き、自動巻き)
・クォーツ式
の2種類になります。様々なメーカーによって、ムーブメントの開発研究が行われてきたため、今では非常に安価で高性能なものがネット通販で買えるようになりました。ここからはそれぞれのムーブメントの違いについて紹介していきます。

機械式(手巻き、自動巻き)

機械式のムーブメントは「ゼンマイで時計を動かす」というシステムとなっています。このゼンマイの巻き方で
・手巻き
・自動巻き
と種類が分かれます。仕組みと特徴を紹介していきます。

手巻き

機械式ムーブメントにおける基本の型であり「リューズと呼ばれるネジのような部分を巻くことで、内部のゼンマイを巻き上げ、そのゼンマイがほどける力で針が進む」という仕組みのムーブメントです。

手巻きの特徴は「巻き止まり」と呼ばれる「ゼンマイが巻けなくなる現象」が起きることです。当然ですが、ゼンマイは無限に巻き続けられるわけではないので、ゼンマイが巻けなくなったら止まります。そのため「巻きが足りなかったかな」とリューズを回し続けた場合、ゼンマイが切れることもありますので注意が必要です。

自動巻き

基本構造は手巻きと同じものですが「内部に半円形の錘(ローター)が組み込まれている」という部分が主な違いです。仕組みとしては「腕を振った勢いで、時計内部の錘が回転し、ゼンマイを巻き上げる」というものです。このムーブメントを使用した時計は、リューズを自分で巻く必要がないため、手巻きと区別して「自動巻き」と呼ばれています。オートマティックと呼ばれることもあります。

自動巻きの大きな特徴は
・巻き止まりがないこと
・身に着けていれば、自ら巻く必要がほぼないこと
の2つが挙げられます。ローターが腕を振る振動などによって「自動で」ゼンマイを巻き上げるため、上記のような特徴がみられます。しかし、デスクワークなどであまりに腕を動かさない場合には、止まることもあるため、場合によっては意図的に振る必要がでてくることもあります。

クォーツ式

クォーツ式は、機械式と異なり「ゼンマイを使わず、電池によって動く時計」をさします。そのため、仕組みも機械式に比べて単純であり、量産に向いていることから安価に流通しています。多くの人がつけている「カジュアル時計」「雑貨時計」などが、このタイプに当てはまります。

特徴は「時間の精密さ」「機能やバリエーションの多さ」です。クォーツ式時計は仕組みがそう難しくないため、機械式に比べて誤作動が起きにくく、時間が正確です。また、前述の通り大量生産が可能なため、様々な機能やカラーバリエーションがあります。例えば「ソーラー充電式の時計」や「色が7色から選べる」などです。

オーバーホール

オーバーホールは「時計を分解して清掃を行う」という作業をさします。つまりメンテナンスです。オーバーホールは時計にとって非常に重要な作業ですが、多くの人は「時計のメンテナンスの重要性」を知りません。そのため、ここでは
・オーバーホールが重要な理由
・オーバーホールの頻度
について紹介していきます。

オーバーホールが重要な理由

オーバーホールが重要な理由は「オーバーホールをしないと、次第に正確な時を刻めなくなるから」です。時計は、おしゃれアイテムとして着用されることも多いですが、その本質は「時間を把握する」という部分です。そのため、時間がずれてしまっては時計の本質が揺らぐ、大きな問題となります。

時計の時刻がズレてしまう主な原因は
・内部の潤滑油の劣化
・歯車同士の摩耗
などが挙げられます。つまり、基本的に歯車などのかみ合わせが悪くなることで、時計は遅れていくということです。

上記に挙げた「劣化」を放置してしまった場合には「歯車同士の摩耗の影響によりでる金属粉が潤滑油に付着し、さらに滑りが悪くなり、どんどん摩耗する」という悪循環にハマり、オーバーホールだけでは済まず「部品交換」が必要になることもあります。

また、一部の歯車の摩耗が他のパーツにまで影響を及ぼした場合にも「部品交換」となる可能性は高くなります。さらに、まれにではありますが、メーカーや時計の販売年代によっては「部品が非常に高くつく」「そもそもパーツの生産が終了している」というケースもあるため、注意が必要です。大事な時計が「動かなくなる」「部品交換や修理すらできない」となる前に、定期的な「オーバーホール」をして下さい。

オーバーホールの頻度

結論から言えば、オーバーホールを頻繁に行う必要はありません。しかし、前述した通り「定期的」に行う必要はあります。「オーバーホールを行う正確な推奨頻度」というものもありますが、これについては「時計のメーカーによって異なる」という場合がほとんどなので「正確なオーバーホール頻度を知りたい」という方は、時計を購入した店舗やメーカー元に問い合わせることをおすすめします。

オーバーホールの 平均頻度

上記の通りメーカー差はあるものの、平均的な話をするのであれば「3年から5年」の頻度を推奨しているメーカーが多いです。ですが、前述した通り「最後にオーバーホールした年から数えて2年」を推奨しているメーカーもあれば「4年」を推奨しているメーカーもあり、推奨頻度はバラバラですので注意して下さい。

オーバーホールの注意点

オーバーホールの注意点は「時計の使用法によってオーバーホールの頻度には差が出る」ということです。例えば「時計を全く使っておらず、針もしばらく動いていない」という時計と「毎日使っている」という時計では、部品の消耗度合いに違いが出ます。

全く使っていない場合、オーバーホールの頻度は「5年に1度」でも良いかもしれませんが、毎日使っている場合に「5年に1度」の頻度では不十分な可能性があります。また、ものによっては「部品交換」が必要なレベルにまで消耗するため、気をつけてください。

オーバーホールの頻度は、必ずしもメーカー推奨のタイミングが正しいとは限りません。時計の使用頻度などによって「個人差がある」ということを、覚えておいていただければと思います。「何かあれば、すぐオーバーホール」と思っておいて下さい。

まとめ

腕時計の基礎知識である「ムーブメント」と「オーバーホール」については、おわかりいただけたでしょうか。聞きなれない方には少し難しいかもしれませんが、時計を使う上で知っておくと得をする知識です。例えば「壊れた」と思いこまれていた時計が「ムーブメントを交換すれば動く」なんてこともあります。オーバーホールも時計にとって重要なことなので、ぜひ覚えておいてください。